ここ数年、周産期ケアを行うようになり、
妊娠中はさまざまな不調が生じることに改めて気づきました。
今回は、臨月の股関節の詰まり、腰の違和感をテーマとして
治療した一例をあげて、ご紹介したいと思います。
臨月は仰向けで寝れない?
妊娠中、特にお腹が大きくなってくると、仰向けで寝る時に腰が痛くなるという悩みを耳にすることが多くあります。
妊娠後期でも腰痛患者の治療において、骨盤アライメントと股関節の拘縮は常に表裏一体の関係にあります。
右鼡径部に拘縮があれば、同側の寛骨は前傾方向に引かれて骨盤は歪んだ状態となります。
仰向けで腰部に負担を感じるとき、片側の寛骨が前傾していることを1つの原因として考えることが出来ます。
例えば右寛骨が前傾すると、右寛骨の後部は上方に移動するので、仙骨が傾きます。
その影響が腰の筋肉の緊張を高めます。
そのような状態が疑われたら、手で左右の寛骨の前後傾を修正すると、その瞬間に腰の張りが軽減されることで確認できます。
このような非対称的な骨盤の状態が把握できたら、どの筋肉が寛骨を前傾方向に引いているのかを丁寧に探っていきます。
特に緊張の強い組織があれば、おそらくそれが原因でしょう。
今回の患者さん
今回治療した臨月の妊婦さんは、鼠径部のつまりや仰向けで腰の不快感を訴えていました。
まず右の大腿直筋と腸骨筋との間で分岐した大腿神経を触知し、大腿神経を大腿骨頭上の関節包から
剥がすようにして外側に向かってリリースします。
そうすると、内側の腸骨関節包筋の外側縁が触知されるので、関節包をこするようにして
この筋を内側に向けてリリースします。
この妊婦さんの場合は、上記によって寛骨が左右対称となり、背臥位での不快感が解消されました。
骨盤アライメント
妊娠中は身体の変化に伴い、骨盤のアライメントも変化していくことが容易に想像できるかと思います。
また、妊娠中でなくても骨盤のマルアライメントはよく見られ、それが引き金となり、
腰痛や鼠径部のつまりといった症状を発生させてしまいます。
骨盤のアライメントを正確に評価し、それを誘発する癒着や拘縮を丁寧に解消させていくことが重要だと思います。
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