変形性股関節症:JHC2021を開催しての振り返り
先日、2020年から延期していた
「ジョイントヘルスカンファレンス(JHC)」を
無事に終えることが出来ました。
2日間にわたるカンファレンスは
1日目に初期変形性膝関節症
2日目に初期変形性股関節症
として、高名な先生方や経験豊富なセラピスト達に
文献レビューの発表を行ってもらいました。
私自身も新しい知見をたくさん得ることができ、たいへん有意義な会でした。
その中で、ふと、以前参加した学会の出来事を思い出したので
ここに記事としてまとめようと思います。
変形性股関節症のお話です。
最終的なオペ適応についていろいろ考えていました。
1)痛みの主体が関節内にのみある場合
関節内への関節内注射で痛みの軽減が得られ、その他の部位の痛みが誘発されない状態。
2)痛みの主体が関節外にある場合:
関節内注射がほぼ無効である場合。
3)関節内・外の両方に痛みの主体がある場合
関節内注射で僅かな変化。
さらに関節外の問題に対して15mlの局麻を用いているという話もありましたが、
責任部位を特定するには1ml程度でピンポイントに痛みの変化を確認するという医師もいました。
振り返り、私が股関節痛の治療を行うときは、組織間リリースで1mmずつ「リリース時痛」の有無を確認し、またリリース後の痛みの変化を確認することで、症状とその原因とを照合していきます。
この手法で到達できないのは、関節内(円靭帯、関節唇、関節軟骨)と瘢痕組織に埋もれた大腿直筋反回頭。
経験的に、X線で骨頭の円形が保たれている初期OAであれば、ISRのみで解決する例が大部分で、どうしても手術が必要と思われる例は稀です。
加谷先生の77例のケースシリーズでは、全員関節外の処置のみで好成績で、しかも再発なし。
そうなると、「結果因子」としての関節内病変は、原因因子である関節外の癒着が解消されれば処置される必要がないということになりそうです。
質問に立った医師が、「鏡視下手術中に関節内病変を見たときに、それを放置することはできない」とコメントしていましたが、逆に結果因子がどれだけ改善できても股関節のキネマティクスの異常を引き起こす「原因因子」が放置されたら、それも問題ではないかと感じます。
リアライン・コンセプトの原因因子と結果因子という考え方は、手術適応を考えるときにこそ必要だと感じました。
あくまで私の考察です。
皆様の参考になれば幸いです。
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