足首の捻挫はクセになる?捻挫の予防法を徹底解説

ジョイントヘルス

スポーツをやられている方は、スポーツ中に何度か足首を捻挫した経験はありませんか?足首の捻挫は手や指の骨折や突き指など外傷の次に多いと言われています。

足首の捻挫はクセになってしまうため、アスリートを目指す方は特に正しい方法で予防する必要があります。

この記事では、

  • 足首の捻挫(足関節捻挫)の概要
  • 足首を捻挫する理由
  • 足首をひねりやすい「足関節背屈位動揺性」の概要

以上3点について詳しく解説していきます。是非、最後までチェックしてみてください。

スポーツ中クセになってしまう足首の捻挫(足関節捻挫)

足首の捻挫(足関節捻挫)の中でも足首を内側にひねって生じる「足関節内反捻挫」が大多数を占めています。これにより、足の関節に痛みや腫れを生じ普通に歩くだけでも困難な状態になります。捻挫をした後は、炎症を抑えるためにすぐに冷やし、弾性包帯やテーピングでの固定を行うことが大切で、その後できるだけ早くお近くの専門医へ相談することをおすすめします。

足関節内反捻挫とは?

「足関節内反捻挫」はアスリートに多いと言われる怪我の一つですが、十分な治療と休養を取らないまま復帰してしまう選手が多いです。アスリートに限らず、足首の捻挫は適切な治療を行わないと「慢性足関節不安定症」を引き起こしてしまいます。

さらに、この足首の不安定感や可動できる範囲の制限、筋力低下などの機能低下は、競技のパフォーマンス低下に繋がります。そして、足を正しく治療しなかった結果、変形性膝関節症(OA膝)を発症するリスクを高めてしまいます。 

そのためアスリートや一般のスポーツをする方々には、このような足首の捻挫の慢性化を防ぐために必要な事として、スポーツをする現場で最短で最適な治療の重要性と再発予防についてを知っておくことが重要です。 

足関節内反捻挫を理解する上で、まずは足首の靭帯について解説します。

靭帯

足首の関節には、内側と外側に「靱帯」があり、足首を固定しています。この「靭帯」は骨と骨をつなぎ、関節が本来の可動域以上に動きすぎる事を防いだり、骨同士がズレるのを防いだりする重要な役割をしています。腱や筋肉と違い、硬くて伸びにくい強靭な組織です。

前距腓靱帯

一般的に捻挫で傷つきやすいのは外側の靱帯です。外側には前・後の距腓(きょひ)靱帯と踵腓(しょうひ)靱帯がありますが、その中で特に重要なのが前距腓靱帯です。この靱帯が切れたり伸びたりすると「足関節内反捻挫」を起こし、歩く時に足首が不安定になります。

足首を捻挫しやすい理由とは?

「距腿(きょたい)関節」は、足首を構成する関節の一つで、底屈位の時に最も捻挫が起こりやすい状態になります。距腿関節は脛骨(けいこつ)側が凹、距骨(きょこつ)側が凸のらせん関節となっていて、脛骨内と腓骨外果が距骨滑車を挟み込むことで成り立ちます。

「ほぞ穴状」が特徴であるため、構造上の骨性安定性が高いです。

足首の捻挫が起こりやすい「底屈位」とは?

底屈位で捻挫が起こりやすくなる具体的な理由として、

①底屈位における骨の安定性が低下すること
②内側と外側のくるぶしの位置関係
③靭帯損傷による内反可動域の異常増大すること
④内くるぶし周辺における前脛骨筋の癒着(ゆちゃく)により足関節内側の底屈が制限されること

上記4点が挙げられます。内反捻挫の具体的な理由を詳しく見ていきましょう。

①底屈位における骨の安定性が低下すること

距腿関節の骨の形状からすると、背屈位(つま先を上に向けた状態)では関節の安定性が向上しますが、底屈位(つま先を下に向けた状態)では関節が不安定になり内反捻挫は起きやすくなります。

②内側と外側のくるぶしの位置関係

「くるぶし」は内側と外側では高さが異なります。内果(内くるぶし)と外果(外くるぶし)では、外果のほうが地面に近い位置にあります。

外がえしをしようとすると、外果が邪魔になりあまり動くことができません。一方、内がえしは内果の下である土踏まずの位置が空洞になっているため、距骨が動きやすい構造になっているため内反捻挫が起きやすくなります。

③靭帯損傷による内反可動域の異常増大すること

内反捻挫で特に損傷しやすいのは、前距腓靭帯と踵腓靭帯です。また、内側には三角靭帯(内果から広がり、距骨・踵骨・舟状骨に付着する4つの靭帯群)という強固な靭帯がついています。

内側の強固な三角靭帯に比べると、外側の靭帯の強度は弱く、これにより内反捻挫による靭帯損傷が起こり内反(内がえし)する可動域が広範囲になります。

そのため、治りかけで靭帯が弱っていると再び内反捻挫を起こしやすくなり注意が必要です。

④内くるぶし周辺にある前脛骨筋の癒着(ゆちゃく)により、つま先が内側を向くと、足関節内側の底屈が制限されること

内くるぶし周辺にある前脛骨筋同士が癒着してしまうと、つま先が内側を向いてしまいます。よって、足首内側の関節の底屈(つま先を下に向けること)が制限され内反捻挫が起こりやすい状態になります。

①、②、③については保存療法での改善は難しいですが、④については前脛骨筋などの滑りを良くする事により症状を改善することができます。

例えば、ジャンプして着地する時のように、脱力した「底屈位」のまま足首に荷重がかかるとします。このような場面では、少なくとも「内がえしのない底屈位」をとることで、捻挫の発生のリスクを低下させることができます。

「背屈位」での足首捻挫とは?

一方、「背屈位」でも足首の捻挫が起こることがあります。これは、靭帯損傷による不安定の有無にかかわらず、背屈位においても骨性の安定性が十分ではないことが原因です。

「ほぞ穴」という背屈時に距骨が脛骨と腓骨を形成するほぞに上手にはまり込むことができないと、背屈位での距腿関節の安定性が著しく低下してしまいます。

この足首の背屈位における機能的な不安定性を、「足関節背屈位動揺性(unstable mortise)」と呼んでいます。

足首をひねりやすい「足関節背屈位動揺性」とは?

足関節背屈位動揺性(unstable mortise)の病態

足関節背屈位動揺性(unstable mortise)の病態として、

  • 足首をひねりやすいこと(giving-way)
  • 歩行時の足関節背屈位でも捻挫を起こすことがあること
  • 中間位(つま先が正面を向いた状態)では背屈制限があるが、距骨外旋位(つま先が外側を向いた状態)で背屈が増大すること

以下の3つが挙げられます。

これらの病態に対しては、足関節の安定性を高めるためのテーピングが用いられます。しかし、長期間のテーピングの使用は足関節周囲の皮下組織の滑走不全(癒着)をもたらし、その結果、背屈位での安定性を低下させることになります。

足関節捻挫後に生じるねじれのような正常なアライメントから大きく偏位している状態を「アライメント異常(マルアライメント)」と言います。 

「マルアライメント」とは、

  • 背屈位外反
  • 舟状骨~内果が3cm未満
  • 背屈位・内転誘導にて骨性の安定性がない
  • 背屈位・下腿外旋で母趾球挙上

以上4点のようなものが挙げられます。

中間位での背屈に制限が生じ、足部外旋位での背屈が増大します。その結果、荷重位では足部に対して脛骨が内旋する(内側に捻じれる)ことになり、下肢全体では膝外反(膝が内側に入る状態)を招きやすくなります。

また、外旋位となった距腿関節を内旋させようとすると、踵骨が回外し(足の裏が内側を向く)、捻挫を起こしやすい肢位になります。

この「マルアライメント」は捻挫を繰り返し、背屈制限が増強するとともに悪化していくため、さらに捻挫が生じやすい状態となります。したがって、スポーツを行う場合には、足首関節固定ブレーステーピングなどの外的固定をせざるを得なくなります。

足関節背屈位動揺性(unstable mortise)の原因

足関節背屈位動揺性(unstable mortise)の原因として、距腿関節内側部の背屈制限、すなわち距骨内側での後方への滑りが制限されていることが挙げられます。

これは主に足関節内側の軟部組織の滑走不全によって引き起こされ、徒手的な組織間リリースで解消することが可能です。

具体的には、アキレス腱周囲や脛骨前内側部の皮下組織の滑走不全、アキレス腱とその全部のKager’s fat pad(足関節後面に存在する、足部で一番大きい脂肪体)の滑走不全、後脛骨筋・長趾屈筋・長母趾屈筋と後方関節包や内果との滑走不全などが原因となります。

足関節背屈位動揺性(unstable mortise)の治療法

足関節背屈位動揺性(unstable mortise)の病態の一つとして挙げた「中間位では背屈制限があるが、距骨外旋位で背屈が増大すること」は、背屈位における距腿関節のマルアライメントであり、症状を改善するにはリアライン・コンセプトに基づく治療を行う必要があります。

下記の通り、①リアライン 、②スタビライズ、 ③コーディネートで治療を進めていきます。

STEP1

リアライン

re-align

組織間リリースやエクササイズを用いて、足関節背屈位における正常なアライメントを獲得するとともに、背屈位動揺性を解消して他動的な足関節内旋時の骨性のend feel(関節を他動的に動かした時に最終域で感じられる抵抗感)を獲得します。

STEP2

スタビライズ

stabilize

主にトレーニングで、STEP1のリアラインで獲得した正常なアライメントを失わないために必要な筋力、筋活動パターンを獲得させます。

STEP3

コーディネート

coordinate

動作修正により、捻挫発生のリスクの高い動作やマルアライメント再発のリスクの高い動作を行わないようにします。

修正と共に、テーピングやリアライン・ソックスを用いて足首の関節を安定させます。ここで安定させることで捻挫の再発防止に繋がります。

まとめ:足首の捻挫は正しい方法で予防しよう!

この記事では、

  • 足首の捻挫(足関節捻挫)の概要
  • 足首を捻挫する理由
  • 足首をひねりやすい「足関節背屈位動揺性」の概要

以上3点について詳しく解説してきました。

選手生命が長いようで短いアスリートにとっては、捻挫に気をつけてスポーツをすることはとても重要なことです。

今回の記事でご紹介した足関節内反捻挫後に、「十分な治療と休養を取り復帰すること」「捻挫をしやすい足の向きを理解し予防すること」で捻挫になるクセが防止できるため、ぜひ実践していただき全力でスポーツに取り組んでいただければ幸いです。

また、アスリートに限らず、足首の捻挫は予防と適切な治療を行うことでその後の足の不具合を予防できるためぜひ、実践してみてください。

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以上2点をぜひチェックしてみてください。

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