鹿児島の高島先生が、組織間リリースセミナー<疼痛治療1>の振り返り記事を書いてくださいました。今後、セミナー受講を迷っている方、また以前のセミナーに参加した方にはとても参考になる振り返りとなっています。
セミナーの内容
4月10日に対面セミナーに参加しました。約2年ぶりの東京出張となりました。
●座学:神経の触診とリリース
最初は座学でした。組織間リリースの定義などの説明を受け、エコー動画でリリース後、滑走性変化などを証明されました。1年間オンラインセミナーをじっくりと視聴したからか、以前と比べたらエコー動画で前と後の変化を理解しやすくなっていました。
次は疎結合組織の説明とリリースの方法についての説明がありました。滑走領域から非滑走領域の境界部(滑走限界)をしっかりとみつけること、そしてその一点をリリースすることに集中することが重要という内容です。これは聞きなれた説明でした。硬い平面(机)でのテープはがしから初めて、ソファのような柔らかい面上、そしてペットボトルのような曲面、さらにはみかんの皮を向くような不整面でのリリースの順に進めます。この説明もしっくり理解できました。
●基礎技術1:指の中のリリースポイントを見つける
リリースポイントを確認する作業がありました。これは、指先の末節骨のどの部分をリリースに使うかを決定する作業です。いつも使っているリリースポイントよりも、リリースしやすい場所が見つかりました。何気なく指を使っていると、実は最適の部位を使っていないということがあるようです。後日、少し検討しなければならないと思いました。
具体的には、母指、支指ともに普段使っているリリースポイントは、最も尖った骨の突起部よりも内側にありました。よく見たら爪がその部分だけ強くなっています。無意識に普段使っていること、そしてそれに身体が適応しているのに驚きました。
●基礎技術2:リリースする際のポジショニング
次にリリースするポジショニングの説明がありました。立ってリリースしようとすると、上から患部を見下ろすことになるので、無意識に下方向への圧が強くなってしまいます。組織を潰してる感覚を確認できました。やはり座位でリリースするのが合理的だと感じました。
ただし、講習会でありがちなのが、長机の上にモデルを寝かせるので椅子の座面との高低差が大きくなってしまいます。机の下に10cmほどの棚があるためです。患部の位置が高いので、肩甲骨が上がりやすくなります。椅子の上に正坐、もしくは椅子に鞄を乗せて座ると丁度よい高さになりました。リハビー・チェアを持参しようかと思いました。
改めて、ポジションが違うだけでリリースのしやすさが全然違います。
●実技の振り返り
①大後頭神経: 思ったより深い。頭部の筋を潰すともうそこは深すぎる。
②副神経: ある程度したら頭を側屈させて引きずり出す。最近これを忘れていた。側臥位で拇指で押す形の方がやりやすかった。
③肩甲背神経: 思ったより深い。下り坂 → 平面 の順番。滑液包と切り離すのが苦手なので教えてもらえばよかった。
④上殿皮神経: 腸骨稜沿いで神経を探してから、いったん腰側に降りて辿る。殿筋を潰さない深さを知れた。
⑤腸骨下腹神経: PSISからから外側にすとんと降りてから側方に移動して探す癖があった。もっと前方で探すようにしよう。
⑥梨状筋: 思っていたより深い。リリース後の筋の滑走性確認をよく忘れている事に気づいた。リリースできたか滑走性の確認を忘れないようにしよう。
⑦坐骨神経: 後大腿皮神経をさわっていた。神経の大きさで確認。
⑦大腿神経: 鼠経靭帯から下方は触りやすかったがそれから上は途中で見失う事が多かった。深さに気を付ければ比較的辿りやすい。
⑧伏在神経: 脛骨沿いで探す事が多かったので触知はしやすかった。腱様筋、薄筋、縫工筋もわかりやすかった。ここの部位は比較的触りやすい。
感想
- 精密に触るという事では神経を的確に触れた時、張ったワイヤーに指を当てたのと同じ感覚だという感想を持っていたが、それが今回はっきりした。再現性を高めたいと思った。
- 次に母指ではなく胸で押すという感覚。示指は肘で引いてくる感覚の再確認ができた。特に不正面かつ曲面に対してのリリース感覚も再確認できた。
- 組織を押し続けている時があるのにも気づいた。普段の施術で大殿筋のリリースは殿筋重く押し返してくるので、それをリリースする方の手だけでせずに逆手をうまく使って押し込まないように気を付けたいと思った。
- 滑走限界を甘くとらえているので、しっかり滑走限界までもっていく感覚を意識したい。潰さない事を意識しすぎて深さなどが足りない傾向がある。これが今回の重要なポイント。
まとめ
- 指を動かしていると、リリース技術を習熟できない!
- 正確に滑走限界に当たるとしっくりきて、気持ちいい!
- 押し続けない! 滑走限界で指を止め、リリースが終わるのを待つ!
- 滑走限界を正確にとらえる!
- 深さの微調整が重要!
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