難治性の仙腸関節痛・・・もつれた糸をどのように解くか?​

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難治性の仙腸関節痛・・・もつれた糸をどのように解くか?

仙腸関節痛をこじらせると、一般的な治療法が全く通用しない難治性の仙腸関節痛になってしまうことがあります。薬や注射、あるいはコルセットや安静などが全く効果がない状態になることもあります。仙腸関節痛という診断さえもつかずに、原因不明のままで、何か所もの医療機関をさまよう方もおられます。

難治化し、慢性化した仙腸関節痛を治すには、もつれた糸をほどいていくように丁寧に原因を探リ、一つずつ解決する必要があります。主に3つの側面について考えてみましょう。

1)仙腸関節へのストレッス軽減
もともと仙腸関節に加えられる機械的ストレス(運動、怪我、関節のゆるみ、筋力バランス、股関節の拘縮など)を軽減する。

2)対症療法
痛みを生み出ている組織(仙腸関節内、関節外の神経や筋肉など)を特定し、その組織に対して直接的な除痛を目的とした治療を行う。

3)慢性疼痛対策
頭の中で脳の誤作動で実際に起っているダメージ以上に痛みを感じさせる要因、痛みに対する感度を上昇させる下行抑制系の異常に対して、心理的側面を含めた治療を行う。

の3つに分けて整理していきます。

1.仙腸関節へのストレス軽減

1)はメカニズムです。2)は痛みの発痛源です。3)は脳の中で痛みが増幅するものなので基本的には1)と2)が完全に解決されると自然に改善していくことが期待されます。

1)に関しては、上で述べた原因因子の治療を徹底的に行い、骨盤のアライメント(歪み)を理想的な状態に戻していく必要があります。それを終えてから2)に取り組むことで、対症療法の効果が得られやすくなるだけでなく、その効果の持続性も高くなります。

2.対症療法

慢性化したとしても、もともと仙腸関節に起こった痛みであるとすると、必ず仙腸関節の周辺に発痛源があります。発痛源が神経なのか、血管なのか、あるいは仙腸関節の靱帯なのかをはっきりさせないと対症療法の効果が得られません。

仮に、坐骨神経の痛みで足の裏にまで痛みが広がっていたとしても、仙腸関節の周辺に坐骨神経を刺激する何らかの原因があるはずです。これを丁寧に見つけ出し、局所に対して最も有効な治療法を施すことによって痛みの軽減が得られていきます。

慢性化した仙腸関節痛の難しいところは、本当の発痛源を突き止めることができない点にあります。仙腸関節の痛みは、仙腸関節の後ろ側だけでなく、前側から起こることもあります。前側には坐骨神経になる前の仙骨神経叢と呼ばれる神経があって、これらが分岐・合流をしながら坐骨神経へと繋がります。この仙骨神経叢が仙腸関節の前側で癒着すると、誰も手を出せない痛みが作られます。

さらに、坐骨神経の出口である大坐骨孔において幾つかの神経や血管がひとまとめになって互いに癒着していることもあります。これらを丁寧に探索し、痛みの原因を見つけることができれば、対症療法の効果が一段と向上するはずです。

 

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